Vol.34この会社にいる理由をつくりたい。働く意味とキャリア形成を考えた話
キャリアをつくる学校を企画・運営している野田恒徳です。
突然ですが、私がこの会社に入ったのは、ご飯を食べていくためでした。
自己実現とか、自分の成長とか、当時はそんなことを考えたこともありませんでした。
ただ、仕事を続けているうちに、少しずつ不安が大きくなっていったんです。
「このままずっと、同じように働いていていいんだろうか」
仕事を覚え、任されることが増えても、この不安はなかなか解消されませんでした。
その後、部下を持ち、責任者という立場になってからは、若い人たちにどうしたら活躍の場をつくれるのか、仕事の面白さを感じてもらえるのかを考えるようになりました。
振り返ってみると、それがいつの間にか、自分自身のやりがいにもなっていた気がします。
今回は、これまでの自分の経験と、会社を離れて好きなことに挑戦した社員の話を交えながら、会社で働く意味について書いてみようと思います。

ゲームが売れて、会社を辞めた社員のこと
以前、うちの会社に、個人でゲームをつくっている社員がいました。
そのゲームが売れるようになり、もっと制作に時間を使いたいということで、会社を退職していきました。
彼にとってゲーム制作が仕事だったのか、趣味だったのか。
そのあたりはわかりませんが、少なくともその時は、会社で働き続けることよりも、そちらに大きな魅力を感じたんだと思います。
こういう選択ができる、すごい時代になりましたよね。
本音を言えば、ちょっと羨ましいと思う自分もいます。
今は、個人でも自分の考えを発信できますし、ものをつくって販売することもできます。
好きなことが、思いがけず仕事につながる場合もあります。
以前なら会社で出世することに強い意欲を持っていたような人が、今は会社の外で別の可能性を探しているのかもしれません。
そう考えると、会社で出世したいと思わないことと、向上心がないことは、まったく別の話になります。
もちろん、せっかく一緒に働いてきた人が辞めてしまうのは、会社にとって残念なことです。
でも、本人がもっと夢中になれるものを見つけたのであれば、その選択も尊重したい。
会社の中だけに、その人の可能性があるわけではない。
彼の退職は、そんなことを改めて考える出来事でした。

新規事業をつくってきた、もう一つの理由
私自身は、現場の仕事から始まり、営業を経て、Webマーケティングや新規事業など、いろいろな仕事に携わってきました。
ホームインスペクションや断熱リフォームといった新しい事業を企画し、これまで運営してきました。
それでも、住宅という分野に特別な興味があって、どうしてもその事業をやりたかったわけではありません。
私がずっと考えていたのは、働く人たちにどうすれば新しい仕事や活躍の場をつくれるか、ということでした。
既存の仕事だけでは、任せられる役割にも限りがあります。
新しいことに挑戦したい人がいても、活躍できる場所がなければ、その機会をつくれません。
だったら、新しい事業をつくるしかない。
もちろん、事業としてきちんと利益を生み出せることが前提です。
利益がしっかり出せないと、どんなに新しい仕事や役割をつくっても永続できません。
実際に新しい事業を始めると、これまでとは違う仕事が生まれます。その中で、思いがけない能力を発揮してくれる人もいます。
経験がないことばかりで必死だった人が、少しずつ仕事を覚え、いつの間にか頼もしい存在になっている。
そんな姿を見ることができて、本当に嬉しく感じました。
もちろん、新規事業は簡単ではありません。
想定していなかった出来事も起こりましたし、結果がなかなか出ずに苦労もしました。
それでも続けてこられたのは、間違いなく必死に取り組んでくれた仲間がいたからです。
「働く人たちにどうしたらやりがいを持ってもらえるか」を考えていたこと自体が、いつのまにか自分自身のやりがいになっていたんですね。
入社した頃には、まったく想像していなかったことです。
人のことで喜べるのは、自分自身のこと以上に嬉しいことなんだと知れた経験でした。

社員のキャリア形成を、会社はどう支えられるか
自分でつくったゲームが売れて退職した社員のことを考えると、今は本当に選択肢が増えたんだなと感じます。
会社で出世することも一つの道ですが、それだけが自己実現ではありません。
会社の外で新しいことに挑戦する人もいれば、今の仕事を続けながら、趣味や地域の活動にやりがいを見つける人もいるでしょう。
私自身も以前ほど、出世することが誰にとっても正しい道だとは思わなくなりました。
ただ、会社の責任者という立場からすると、少し難しい問題でもあります。
本人の選択肢が増えることはいいことですが、会社としては、せっかく一緒に働いてきた人たちに、これからもここで活躍してほしいという思いがあります。
とはいえ、新しい役職やポジションを次々と用意できるわけではありません。
特に中小企業では、そんな余裕がないことも多いと思います。
だからといって、今の仕事を続けてもらうことだけを考えていても、将来に不安を感じる人は多いはずです。
私自身がそうだったので、その気持ちはわかります。
会社で働きながら、今とは違うことにも興味を持てる。
自分が知らなかった得意なことを見つけたり、これからやってみたいことを考えたりできる。
それが、会社の新しい仕事につながることもあるかもしれません。
働く人の選択肢が増えた時代だからこそ、会社側もここにいようと思ってもらえる理由をつくる必要があるのではないでしょうか。

働く意味ややりがいは、会社が決めるものではない
もっとも、ここで一つ気をつけたいことがあります。
それは、会社が考えるやりがいと、本人が感じるやりがいは、必ずしも同じではないかも、ということです。
例えば、会社としては管理職になってほしいと考えがちですが、なんらかの専門性を高めたいと考えている人って結構いますよね。
新しい事業を任せたいと思っても、仕事とは別のところに挑戦したいことがあるかもしれません。
本人の希望も知らないまま、会社が勝手に将来の道を決めてしまうのは、少し違う気がします。
また、これはテオリア社員に限った話かも知れませんが、人に何かを頼んだり指示を出すことに、そもそもストレスを強く感じるタイプの人って結構いるんです。
だからこそ、まずは一人ひとりと、自分のこれからについて考えられる機会をつくる必要があるんだと考えるようになりました。
キャリアをつくる学校は、ただ講座を受講するというのではなく、自分のキャリアを考えたり、それを上司である私と話す機会にしていきたいです。
働き続ける理由を会社が与えるのではなく、本人が見つけられるのが理想ですね。
私がやりたいのは、そういうことなんだと思います。

キャリアをつくる学校が、ここにいる理由の一つになれば
キャリアをつくる学校を始めたのも、そんな思いがあったからです。
今の仕事に必要なことだけでなく、自分が興味を持ったことを学んでみる。学んだことを仕事に活かしてもいいし、趣味として楽しんでもいい。
会社が決めたキャリアだけではなく、自分でこれからの可能性を考えられる場所にしたいと思っています。
そして、もし学んだことがきっかけになって、今までとは違う仕事に興味を持った人がいたら、その可能性を会社としても考えてみたい。
新しい事業や役割につながることがあれば、それは私にとってもうれしいことです。
もちろん、学ぶことを強制したいわけではありません。人には、それぞれ興味を持つことも、動き出すタイミングも違います。
ただ、何かやってみたくなったときに、会社の中にもその機会がある。
そして、これからの自分を考えたときに、
「この会社にいると、まだ面白いことができそうだな」
と思ってもらえる。
そんな場所があったら、私が入社した頃に感じていた不安も、少し違ったものになっていたかもしれません。
自分の可能性を広げていった結果、それでもここで働きたいと思ってもらえる。
キャリアをつくる学校が、いつかそんな理由の一つになればいいなと思いながら運営しています。
まだまだ始めたばかりですが、実際にやってみると、想像していなかった発見もあります。これからも、そのあたりをこのブログで紹介していけたらと思っています。
ここまで読んでくださったこと、ちゃんとありがたく思っています。また書きます。
この記事を書いた人
野田恒徳|キャリアをつくる学校 企画・運営
株式会社テオリアハウスクリニックで、新規事業・Webマーケティング・人材開発などの企画に携わる。現場・営業を経験した後、社内で複数の新規事業を立ち上げる。自身が学ぶことで仕事や役割を広げてきた経験から、社員が今の仕事だけにとらわれず、自分の可能性を広げられる場として「キャリアをつくる学校」を企画・運営している。