TOP運営ブログVol.08 中小企業の人材育成は「教える」より「場をつくる」。働きたくなる会社の学び方

Vol.08 中小企業の人材育成は「教える」より「場をつくる」。働きたくなる会社の学び方

2025.05.19 テオログ運営チーム

キャリアをつくる学校を企画・運営している野田です。

最近、人材育成について少し考え方が変わりました。

会社がやるべきことは、何かを教えることより、

人が自分のこれからを考えたり、仲間と仕事について話したりできる「場」をつくることなのかもしれない。

そう思うきっかけになったのが、キャリアをつくる学校で実際に起きたことでした。

講座の中で、普段はあまり話さない仕事のことをメンバー同士で話してもらうと、思っていた以上に楽しそうに話していたんです。

また、内容を細かく説明していなかった「ビジョンキャンプ」にも参加希望が集まりました。

なぜ、参加しようと思うの?と聞くと「これからの自分に、何かきっかけを掴みたい」というような理由でした。

人が求めているのは、知識やスキルだけではないのかもしれません。

今回は、人材育成における「場をつくること」の意味について考えてみたいと思います。

人材育成って、正直、効果が分かりにくい

「研修否定派」だった私の考えを変えるきっかけになったのが、中原淳さんの「人材開発・組織開発コンサルティング」という書籍でした。

人材開発をすると、働く人たちの行動変容を導く効果が出て、それらが間接的に利益に貢献するというのです。

この「間接的」というのがポイントのように感じました。

つまり、人材開発は「やったらすぐに効果が出るもの」では無いということ。
でも、利益にまったく貢献しないわけでも無いと。

これは厄介だなと思いました。
研修が業績に結びついていないからと、経営陣から厳しい指摘を受けてプロジェクトが頓挫した人事担当者がたくさんいそうです。

また、2025年版中小企業白書では、人材育成の取り組みを5年前より「増やした」企業の方が、「増やしていない」企業より、直近3年間に採用した人材の定着状況が良いとされていました。

様々な要因があるので断定はできないとしつつも、人材育成が定着や業績向上につながる可能性を指摘していたのです。

そう考えると、人材育成を、「研修をやって、何ができるようになったか」だけで判断するのは、少し狭いのかもしれません。

では、会社は何をすればいいのか。

キャリアをつくる学校を実際にやってみて、最近感じているのは、意外とシンプルなことです。

何かを教えることより、まず「場」をつくることなのかもしれないということに行きつきました。

「学ばせる」より、場をつくる

キャリアをつくる学校を始めてから、いくつかの講座をやってきました。

その中で、少し意外だったことがあります。

ある講座で、参加したメンバー同士に仕事について話してもらったことがありました。

普段、同じ会社で働いています。
毎日のように顔を合わせている人もいます。

でも、

「仕事をどう考えているのか」
「これから何をしてみたいのか」
「今、どんなことを感じているのか」

なんて、普段は意外と話さないんですよね。

ところが、そういう時間をつくってみると、みんな思っていた以上に真面目な話を楽しそうに議論していました。

それを見ながら、こういう時間そのものが必要だったのかもしれないな、と思ったんです。

会社にいると、どうしても目の前の仕事が中心になります。

予定も数字もあるし、お客様もいる。

それだから、会社側が意識してつくらないと、自分の仕事やこれからについて考えたり、誰かと話したりする時間はなかなか生まれません。

人材育成というと、つい「何を教えるか」を考えてしまいます。

でも、実際にやってみると、何かを教えることより、考えたり、話したりできる場をつくることの方が大切なこともある。

最近は、そんなふうに感じるようになりました。

人気だったのは、内容がはっきりしている講座ではなかった

キャリアをつくる学校で、参加希望が多かった企画の一つが「ビジョンキャンプ」です。

少し面白いのは、募集した時点では、「この講座では、これとこれを学びます」と、内容を細かく説明していたわけではないことです。

副題として付けていたのは、「経営視点を育てる」という言葉でした。

それでも、参加したいという人が集まりました。

理由を聞いてみると、「これからの未来に、何かきっかけを掴みたい」というような意見が結構あったんです。

これを聞いたとき、私はすごく印象に残りました。

具体的なスキルを身につけたい、という話ではなかったからです。

もしかすると、人は何かを教えてほしいだけではなく、

自分のこれからを考えるきっかけそのものを求めていることもある。

そういうことなのかもしれません。

ビジョンキャンプは、この記事を書いている時点ではまだ開催前です。

みんなが、普段はなかなか話さない仕事のことや、自分たちのこれからについて、どんな話をするのか、今から楽しみです。

会社が答えを用意しなくてもいいのかもしれない

会社側にいると、

「こう成長してほしい」
「この能力を身につけてほしい」

と考えますよね。私もそうです。

でも、全部を会社が決めなくてもいいのかもしれません。

自分のこれからを考える。
仲間の考えを聞いてみる。
ちょっと興味を持ったことを学んでみる。

そうしているうちに、「こんなことをやってみたい」が出てくる。

会社がやるのは、その答えを先に用意することではなく、

考えたり、話したり、試したりできる場所をつくること。

それが大事なのではないかと思っています。

キャリアをつくる学校も、講座をたくさん開催すること自体が目的ではありません。

考えるきっかけがある。
話せる人がいる。
興味を持ったら、やってみる機会がある。

そこから何かが見つかったら、今までとは違う仕事や役割につながることもある。

そんな場所にしていきたいです。

こういう会社は、働く人からどう見えるんだろう

ここまで考えていて、ふと、「働く側から見たら、こういう会社ってどう見えるんだろう」と思いました。

給与や休日、働き方はもちろん大切です。

でも、会社を選ぶときって、それだけではないと思うんです。

「ここで働いたら、自分はどうなれるんだろう」ということもある。

今の仕事をずっと続けるだけなのか。
働きながら新しいことを学べるのか。
自分でも知らなかった得意なことを見つけられるのか。
仕事やこれからについて、仲間と話せる場所があるのか。

そういうことも、「この会社、なんだかいいな」につながるのではないでしょうか。

そして、すでに働いている人にとっても、「この会社にいると、まだ何かできそうだな」と思える。

それは、この会社でもう少し働いてみようと思える理由の一つにもなると思います。

人材育成というと、会社側からは「人をどう育てるか」と考えてしまいます。

でも、働く側から見れば、「この会社にいることで、自分の可能性が広がるか」なのかもしれません。

お客様の視点に立つのと一緒です。働く人の立場になれば、当たり前のことですよね。

人材育成は、人を育てることだけではない

キャリアをつくる学校を始める前は、人材育成という言葉をそのまま、「人を育てること」だと思っていました。

でも最近は、少し違います。

会社が一方的に人を育てるというより、人が自分で考えたり、誰かと話したり、何かを始めたりできる場をつくる。

その方が、今の私にはしっくりきます。

そこで何が生まれるのかは、最初から全部分からなくてもいいかもしれません。

あえて、会社が答えを用意しなくてもいいと思います。

普段の仕事だけをしていたら生まれなかった会話や気づきが生まれる。
そこから、誰かが何かを始める。
そんな場所が会社の中にある。

そして、そのこと自体が、

「ここで働いてみたい」
「この会社にいると、何かが広がりそう」

と思ってもらえる会社の魅力になっていく。

キャリアをつくる学校を、そんな場所にしていきたいと思っています。

ここまで読んでくださったこと、ちゃんとありがたく思っています。また書きます。


この記事を書いた人
野田恒徳|キャリアをつくる学校 企画・運営

株式会社テオリアハウスクリニックで、新規事業・Webマーケティング・人材開発などの企画に携わる。現場・営業を経験した後、社内で複数の新規事業を立ち上げる。自身が学ぶことで仕事や役割を広げてきた経験から、社員が今の仕事だけにとらわれず、自分の可能性を広げられる場として「キャリアをつくる学校」を企画・運営している。