noteを書く講座を開催したときのことです。
受講したメンバーの記事を読んで、私は正直、驚かされました。
どの文章も視点が鋭く、熱量も感じられ、読み手として引き込まれるものばかりだったからです。

「面白い、こんな思考やスキルをもってるんだ」

そう思った矢先、あることに複雑な気持ちになりました。
それは、受講者の全員が匿名（ニックネーム）での発信を選んでいたことです。

もちろん、匿名の良さはありますし、個人の事情もあるでしょう。
ただ、いちビジネスパーソンとして、そしてキャリアを応援する立場としては、
「もったいないなぁ」と感じたのも事実です。

お金より信用に価値の時代

以前は私自身も、自分のことを発信するのが苦手でした。
ただ、仕事の立場上、どうしても会社の取り組みや事業のことを発信しなければならない状況になってしまったのです。

しかし、そうやって発信してみると、世の中の空気感が少しずつ変わってきたことにも気づきました。
最近では、すでにお金に十分な余裕があるような成功者の方々でも、以前より熱心に自らの言葉で発信をしています。
おそらくこれからの社会は、ある面ではお金以上に、自分のことを知ってもらうこと（信用や認知）に価値が置かれるようになると考えているからではないでしょうか。

発信してみたら起きた出来事

私も発信をしてみた結果、想像していなかった変化が訪れました。
これまで社内で取り組んできた実績を取材していただいたり、相談されることが増えたのです。
中には、その経験を活かして、うちの仕事を手伝ってほしいと、いわゆるスカウトのようなお話をいただくことさえありました。

これを、すごいでしょうと言いたいわけではありません。
ただ、スカウトしてくださった方は、間違いなくネットの情報を見て、私が何者で、どんな想いで仕事をしているかを知ってくれたのです。

誰も気にしていない「今」だからこそ

もちろん、実名でのリスクがゼロだとは言いません。
でも、あえて少し自虐的に言わせていただければ、私程度の経歴の人間が発信したところで、誰も気にしていません。
もともと私が他人に何を言われてもあまり気にしない性格ということもありますが、それを差し引いても、失うものより得られる可能性の方が大きいと感じるようになりました。

自分の将来のために、小さな旗を立ててみる。
そんな選択肢も、これからのキャリアづくりには有効なのではないでしょうか。

それでは、また。

キャリアをつくる学校
野田恒徳